固定資産税は不動産の所有者が支払う税金であり、活用されていない空き家であっても例外ではありません。そのため、空き家を所有している間は固定資産税を支払い続ける必要があります。
では、売買取引や相続があった場合、固定資産税は誰に支払い義務があるのでしょうか。固定資産税の税額や払わなかったときのペナルティと併せて紹介します。
◇空き家の固定資産税は誰が払う?
空き家の固定資産税は所有者に納税義務があります。もし、所有者が死亡している場合は相続人全員に支払い義務が発生します。
固定資産税を支払わないまま放置しておくと延滞金が発生し、最終的には物件を差し押さえられます。
空き家は「誰が所有しているのか」が大きなポイントです。これ以外にも売却した場合の固定資産税をどう扱うかという問題があるため、詳しく解説します。
〈1月1日時点の所有者が払う〉
固定資産税は該当する不動産の毎年1月1日時点の所有者が支払います。
相続があった場合は連帯債務として、相続人全員で支払いをする必要があります。相続したけれど登記していない場合でも相続人に支払い義務があります。相続があった場合は滞納になってしまうリスクが高いため、注意が必要です。
2024年には相続登記が義務化されることもあり、空き家の所有者特定は厳格化される傾向にあります。将来的には過料が科されることになるため、誰が所有者なのかを明確にしておくことが重要です。
〈売買取引があった場合〉
固定資産税の支払い時期は、基本的に6月・9月・12月・2月の4回に分けられます。
売買取引によって所有権が移転した場合であっても、1月1日時点の所有者に支払い義務があります。たとえば、5月1日に所有権が移動した場合、5月1日〜12月31日は所有していないにも関わらず、前所有者が固定資産税を支払います。
このような場合は、5月1日以降分を新所有者が日割りで清算するのが一般的です。
〈固定資産税は売買代金として清算される〉
固定資産税の納税義務者は売主であるため、買主が納税することはありません。そのため、清算は売買代金に上乗せされる形で行われます。
ガス、電気、水道などのライフラインも同様に、引き渡し完了日を基準として清算されることが一般的です。売却時には仲介会社を入れることで、このような清算はスムーズに行えるでしょう。
◇空き家にかかる税金はいくら?
固定資産税は、固定資産税評価額 × 1.4%が税額になります。
空き家にかかる税金は固定資産税だけではありません。また、空き家の所有については全国的に厳しい処置が検討されており、京都市では2026年に「空き家税」が課税される予定です。
固定資産税以外にどのような税金がかかるのか、税額はどのくらいになるのかを解説します。
〈都市計画税〉
都市計画税とは、市町村が課税する税金です。
土地や建物の所有者に納税義務があり、支払い額は固定資産税評価額に上限税率の0.3%をかけた金額となります。課税の有無や税率水準は市町村によって異なります。
売買取引時には、固定資産税と同様に買主と売主で日割り計算し、清算されることが一般的です。
〈譲渡所得税〉
譲渡所得税は、売却時に発生した利益に対して課税される税金です。これは所有年数や購入当時の契約書の有無によって税額が大きく変わります。また、居住用不動産であれば、売却した際の税制優遇がありますが、居住用ではない空き家は税制優遇が適用されません。
もし、相続や遺贈によって取得した被相続人の居住用家屋を売却する場合は、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。つまり、売却益が3,000万円までなら譲渡所得税がかかりません。これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。
譲渡所得税は複雑であるため、売却前に必ず不動産会社に確認するようにしましょう。 以上、今回は空き家にかかる税金についてご紹介させていただきました。次回は空き家を保有するリスクについて解説します!