マイホームを購入する、建築するなど何らかの形で取得したとき、その建物は何年利用できるのか、誰しも気にするところです。
特に中古住宅は築年数が直接価格に影響し、建て替えなどが絡むならばライフプランにも関わってくるので、とても大事な要素です。
そんな住宅の耐用年数や寿命について、法定耐用年数や残存耐用年数なども補足しつつ、2回に分けて解説していきます。
◇日本の家寿命が短い?平均どれくらいで建て替える?
日本の住宅は築30年を目安にして建て替えを検討する、そんなこと聞いたことはありませんか?
住宅ローンでは最長35年組めることを考えると、日本の住宅寿命は短く感じてしまいます。
海外では築100年以上はザラにあるとも言われますし、ヨーロッパの伝統的な町並みなど今なお健在です。
どうしてそんな差が出るのかというと、地域性と構造の違いによって現れると言われています。
日本は火山列島と呼ばれる地震が非常に多い国で、数多くの地震災害に見舞われた結果、壊れてもすぐに建て直せる木造住宅が好まれました。
そして、日本の国土の3分の2は森林に覆われていて、古くから林業が盛んな国です。
地震が多いことと、材料の木材が豊富なことから木造住宅が多くなったのです。
また、四季があり高温多湿な環境なので木造住宅との相性はよく、快適に生活することができます。
その代わり地震対策のために建築の手間を減らし、高温多湿なことが木材の損耗を進めるため、短いスパンでの建て替えが多くなりました。
そんな住宅への考え方が続き、同じ家を守り続けるというより、古くなったら新しく建て替えする、家族構成が変わればその都度建て替える、といった文化が形成されたため、築30年がひとつの目安になってしまいました。
生まれた子も30年経てば結婚して新たに家庭を持つことも自然で、それに伴って家を新しくすることも選択肢として考えられます。
だからこそ、30年前後のスパンで家庭状況の変化も含めて家の建て替えが発生し、それが定着してしまった結果、住宅の寿命が30年と言われるようになったのです。
もちろん住宅の建築技術や高度経済成長時期の大量供給の時代があったことや、中古物件の市場が未成熟だったことも要因です。
単純な木造住宅の寿命を考えるとメンテナンスをしっかりやれば30年以上、なかには80年程度の寿命があると言われています。
最新技術では100年住宅を目指した長期優良住宅や200年住宅を目指した目情住宅も多く建築されています。
そして、多くのマンションで利用されているコンクリート造は木造に比べて平均寿命が長いと言われているので、50年100年と住み続けられることもできます。
今現在は30年スパンでの建て替えを考える時代でもなくなったと言えるでしょう。
◇法定耐用年数とはなんだろう?構造別の耐用年数の考え方
住宅の寿命に明確なものはなく、大体何年くらいの寿命があるとしか言えませんが、国税庁が定めた法定耐用年数という基準を知っているでしょうか。
居住用の木造住宅ならば22年、鉄骨造・コンクリート造ならば47年といった数値が法定耐用年数で定められています。
木造住宅は22年しか耐用年数がないの!?と言われそうですが、これは国税庁が定めた、建物の価値がなくなるまでを示した数字なのです。
詳しくはこちらの表を参照してください
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
それを減価償却と言いますが、建物は新築時から年月を経るごとに価値が下がっていくのですが、その価値がなくなるまで木造だったら22年、コンクリート造ならば47年ということです。
だから築23年の建物が耐用年数を超えてしまっているので住めないということではありません。
では、何でこの数字があるかと言うと確定申告などで必要になるからなのです。
所有している資産が築年数によりどれくらい目減りして、それがおおよそいくらなのか、税金額を算出するために活用されます。
それ以外の用途としては、建物の価値を算出するために使ったりします。
法定耐用年数-築年数=残存耐用年数になり、新築当時の建物価格÷法定耐用年数×残存耐用年数で計算すると、大まかな建物の価値が分かるのです。
建物価格1500万円(木造)÷22年×残存耐用年数を12年とすると約818万円の建物価値が残っていることになります。
もっとも、建物価格は仕様や作り方、建築時の状況によって大きく異なるので正確な数値を知ることは難しいです。
そういうときは建築物の再調達価額を参考にしましょう。
再調達価額とは国税庁が取った統計額で、その年ごとの建物の平均的な建築単価を示しています。
平方メートル単価で記載されているので、建物の広さと築年度の数字をかけ合わせ、先述した計算式に当てはめると、現在の建物価値が分かります。
次回は長く同じ住宅に住み続けるために大切なメンテナンスやリフォームについてご説明させていただきます。